参院本会議で日銀総裁の国会同意人事案が再度不同意となり、戦後史上初の日銀総裁空席という異常事態を迎えることが確実になりました。世界的な株価の急落、急速な円高・ドル安、原油価格の歴史的高騰と国内外の経済の混迷が深刻化する中で、中央銀行のトップが不在となってしまいます。日本経済に対する諸外国の信頼も大きく損なわれるでしょう。株式市場からの外資系資金の流出による株価の一層の下落など、悪影響が懸念されます。
衆参の捻れという事態は、現行憲法に内在されていたものです。政府の見解が衆議院と食い違う場合、内閣総理大臣は衆議院を解散すればいいので、解決システムが存在しています。しかし、政府の見解が参議院と食い違う場合、憲法は参議院に拒否権と与えたのと同様の権限を付与していると言わざるを得ません。内閣総理大臣の指名や条約の承認、予算の議決などでは、確かに衆議院の優越が認められていますが、一般の法律案については、3分の2以上という特別な場合に限って衆議院は再議決可能となっており、また、今回の同意人事案件の帰趨などを考えてみますと、政府にとっては、参議院の方が扱いにくいことは明らかです。
二院制自体は、他の先進国の多くで採用されている政治制度で、日本国憲法の二院制も十分な論拠と合理性のあるものです。本来、現行憲法の理念では、参議院に党派性を持ち込まないことを前提としていたと考えるべきです。衆議院において出来るだけ直近の民意を反映させるとともに、「良心の府」たる参議院には、一時の世論の動向に振り回されない、非党派的・理智的議論を期待して、後者に拒否権にも似た権能を与えたのでしょう。ただ、民主主義の原則から、幾つかの重要事項と特別多数の民意がある場合には、参議院よりも衆議院を優越させているのです。
現在のような混迷が起こっているのは、日本国憲法の二院制の欠陥というより、現在の参議院の在り方の問題だと思います。選挙制度を含め、現在の参議院を根本的に作り直す必要があるのでしょう。私も、真に国民のためになる参議院改革のために、多くの議論を興していきたいと思います。
