厚生労働委員会において、国民年金法改正案の審議が始まりました。本日は、舛添厚生労働大臣から趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明を聴いた後、質疑が行われました。
従来、若い世代が多く、右肩上がりの経済成長を遂げてきた日本では、働く世代が高齢者を支える現行の年金制度を維持することが可能でした。しかし、少子高齢化が進む中、将来の年金制度をどのように構築していくべきなのかは、最も困難な政策議論の一つになっています。平成14年12月に出された「年金改革の骨格に関する方向性と論点」において、従来の5年ごとの財政再計算の際に、人口推計や将来の経済見通しの変化に応じて給付水準や将来の保険料水準を見直していく考え方から、最終的な保険料水準を法定し、その範囲内で給付を行うことを基本に、少子化など社会情勢が変化した場合、給付が自動的に調整される仕組み、いわゆるマクロ経済スライドを年金制度に組み入れる保険料固定方式に変わりました。それでもサラリーマンと主婦というモデルケースの家庭において、現役世代の50%の給付を受けられるように設計したのが前回の年金制度改革でした。その設計の中で、本年度より、年金の国庫負担割合を従来の3分の1から2分の1へ増額することが決定されました。
前回の年金改革の際には、そのための財源を確保するため、今日までに当然、消費税増税を含む税財政の抜本改革を行うことが想定されていましたが、突然襲った世界経済危機により、日本経済も大打撃を受け、消費税増税は経済回復を待つまで行えなくなりました。そこで、当座、来年度までの2年間は、財政投融資特別会計からの繰入れ、いわゆる“埋蔵金”の取り崩しによって対応しようというというのが今回の法案の概要です。
野党は、現行の年金制度では将来維持出来なくなるとして、自営業者と被用者等で分かれている現行の年金運営を一元化し、かつ年金の基礎的部分の全額税を財源にして給付する方式(税方式)を主張しています。基礎的部分の税方式自体は、有力な選択肢であることに間違いはありませんが、現在までに保険を払い終わったはずの年金受給者が再び消費税などの形で年金財源の負担を負うことになり、不公平になってしまいます。また、年金運営の一元化については、運営状況の良し悪しによって当事者の間で大きく意見が分かれ、保険料を自主徴収している以上国が強制する根拠も乏しく、実現は著しく困難です。年金の制度改革と財政改革が急務であることは与野党一致した認識ですが、現に年金で生活されている多くの受給者の継続的な受給を維持しながら行うことが必須であり、現実的な対応手段は限られます。
本法案は、今国会における厚生労働関係の最重要法案の一つであり、これから長い審議が続きます。