Topics No.1: テロ対策特措法に関する論点と新法の骨子について
テロ対策特措法をめぐる議論は、第168臨時国会における最大の焦点です。 現行法は2007年11月1日に期限切れを迎えますが、参議院で野党が過半数を占める状況で延長の議決は困難と考えられるため、政府は、新法の成立を目指しています。ここでは、テロ対策特措法に関する論点と、新法の政府案の骨子をまとめてみたいと思います。 |
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国会の事前承認の必要性、法律の有効期間、武器使用の範囲を周辺事態法より拡げるべきか否か、活動実施地域に陸上を含めるか否か、武器・弾薬の補給・輸送を活動から除外するか否か等について議論が行われた。 (1)国会の事前承認の必要性 また、米国の軍事行動の正当化根拠についても議論がある。 |
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現行のテロの防止・根絶のための活動は、幾つかの種類があり、日本はその中で、海上阻止活動のみに参加している。
●不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom, OEF) ・本土派遣(部隊・将校等):アフガニスタン南部、東部のパキスタン国境付近等を中心としたアル・カイーダやタリーバン勢力の掃討作戦等(約20ヶ国参加) ・海上阻止活動(Maritime Interdiction Operation, OEF-MIO):インド洋におけるテロリスト及び関連物資の海上移動の阻止、抑止の活動(8ヶ国参加) ●国際治安支援部隊(international Security Assistance Force, ISAF)(37ヶ国参加) ●地方復興チーム(Provincial Reconstruction Team, PRT)(27ヶ国参加) |
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今第168臨時国会では、以下のような点が議論されると考えられます。
1.国会による事前承認・国会への情報開示 政府は多国籍軍の活動に支障を及ぼすとの理由から、活動内容の詳細な部分については公表を控える場合が多かったが、(1)情報開示により国会報告の内容を拡充する、(2)国会報告の定期化等が議論されると考えられる。 2.国連による活動との関係 民主党小沢代表は、自衛隊の活動は国連の枠組みで行われるべきと主張している。 3.給油等補給活動に代わる我が国の貢献策 アフガンにおける人道支援やPRTへの参加、ISAFへの参加、ISAFへの後方支援(物資輸送など)等が給油等補給活動に代わる貢献策として挙げられる可能性がある。 |
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政府が提案する新法の骨子は、以下の通りです。
1.法律の目的 テロ対策海上阻止活動への補給支援により、国際的なテロリズムの防止・根絶のため国際社会の取組に引き続き寄与し、我が国を含む国際社会の平和及び安全の確保に資する。 2.基本原則 ●武力による威嚇又は武力の行使を禁止する。 3.実施する活動 補給支援活動(テロ対策海上阻止活動の円滑・効率的な実施に資するため、自衛隊がテロ対策海上阻止活動に係る任務に従事する艦船に対して実施する給油又は給水に係る活動) 4.実施計画 補給支援活動特措法に基づき、実施計画(内閣総理大臣が閣議決定する。)が定められ、これに基づき防衛大臣が実施要項を定める。 法律には、(1)基本方針、実施区域の指定に関する事項等,(2)派遣される自衛隊の部隊等の規模、構成、装備、派遣期間等を定める。 5.国会報告 実施計画の決定又は変更があったときは、その内容の報告、活動が終了したときは、その結果の報告を義務付ける。 6.法律の期限 施行から1年を経過した日に失効する。ただし、1年以内の期間を定めて延長可能とする。 |
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