No.46:がんの予防⑦・感染
国立がん研究センターによれば、感染は、日本人のがんの原因の約20%を占めると推計されます。感染による発がんのメカニズムは、感染体が作り出すがん原性タンパク質による直接的な作用や、慢性的な炎症に伴う細胞の壊死と再生による間接的な作用などが報告されています。
ヘリコバクター・ピロリ菌の感染は、胃がんの最も重要なリスク因子であり、国際がん研究機関は、日本のような胃がんが多い国では除菌治療を推奨しています。日本人に関する諸研究の統合解析では、非除菌群に比べ、除菌群では胃がん罹患リスクは0.42倍で有意な低下が認められました。また、内視鏡的切除を受けた早期胃がん患者を対象とした研究でも、異時性の胃がん罹患リスクが除菌群では0.50倍で有意に低下しました。
C型肝炎ウイルスの慢性感染は、肝がんの最も重要なリスク因子です。C型肝炎は、薬物療法の進歩により、高率に排除できるようになりました。同様に日本人を対象とした諸研究の統合解析では、治療群と非治療群の罹患率比は0.22と推計され(補正後0.25)、抗ウイルス療法により、肝がんのリスクがほぼ4分の一に減少することが明らかとなりました。
子宮頸がんの発生にはヒトパピローマウイルス(HPV)が密接に関わっています。HPVは子宮頸がんの患者さんの90%以上で見つかります。感染しても、約90%の確率で、2年以内にウイルスは自然排除されるとされていますが、自然排除されず、数年から数十年にわたって持続的に感染した場合には、がんになると考えられています。子宮頸部の細胞に異常がない女性のうち、10~20%程度がHPVに感染していると報告されており、また、海外では性行為の経験がある女性の50~80%が、生涯で一度はHPVに感染すると報告されています。子宮頸がんの予防法として、HPVワクチンを接種してHPVの感染を予防することが挙げられ、また、子宮頸がん検診を定期的に受けることで、がんになる過程の異常(異形成)やごく早期のがんを発見し、経過観察したり、低侵襲な治療につなげたりすることが出来ます。
その他、ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV-1)による成人T細胞白血病リンパ腫の発生が知られています。
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