Topics No.11: 消防法の一部改正について
平成21年4月24日、参議院本会議において「消防法の一部を改正する法律案」が可決、成立しました。この改正は、近年深刻な社会問題となっている、いわゆる救急患者の「たらい回し」、つまり、緊急搬送において受入医療機関の選定が困難である事案の解消を目指すものです。 実施基準の策定と公表の主体が都道府県とされているのは、消防業務は市町村単位で実施されているものの市町村を越えた救急搬送が日常的になされていること、医療提供体制は、都道府県が医療計画に基づき整備していることの両者の現状を踏まえた上で、第一義的な責任主体として都道府県が適当であると考えられたためです。それぞれの実施基準は、都道府県に設置される「協議会」(消防側、医療側、責任主体である都道府県、第三者的な立場の学識経験者によって構成されます)から意見をうけることとなっており、この協議会には、さらに時勢に応じた基準改定の意見具申も求められています。この協議会は、法律上は定期的に開催されることにはなっていませんが、地域ごとの救急医療体制の変化に的確に対応していくことが求められます。 救急搬送・受入れの問題は、国民の生命に直接関わる極めて重要なテーマであり、複合的な政策の組み合わせによる対応が不可欠な分野です。今回の改正も、救急搬送・受入れ問題に対する1つの対策ではありますが、より本質的な観点からは、救急医療に従事する医師・医療機関数の確保や救急隊員の専門性の向上といった中長期的対策も課題となります。救急患者さんの救命を至上命題として、消防と医療がそれぞれに質を高めながら的確に連携できる体制を推進していきたいと思います。 |