フランス料理は、バターを基調とし、動脈硬化の原因となる飽和脂肪酸が多く含まれているのに、フランス人では、アメリカ人に比べて狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生が少ないことが知られています。これを「フレンチ・パラドックス」と言いますが、この現象について科学的に調査してみると、フランス人ではワインの消費量が多いことが原因であることが知られるようになりました。特に赤ワインに含まれているポリフェノールが、抗酸化作用を示すことにより、動脈硬化を防止することが確認されました。ただ、その後の多くの研究により、赤ワインだけでなく他のアルコール飲料でも心血管疾患の発症が抑えられることが明らかにされました。例えば、38、000人以上の男性を対象とした研究では、1日50グラム以上の飲酒(中等度の飲酒)の場合を含めて、飲酒量が多いほど、また、1週間に飲酒する回数が多いほど心筋梗塞の発症が少ないという関係がみられました(New England Journal of Medicine 348号(2003年)109頁 )。