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健康科学コラム

No.4:日本の食料自給率について

これまで健康コーナーで食事の重要性を述べてまいりましたが、現在、日本の「食」は危機的な状況にあります。昭和40年以降、わが国の食料自給率は、減少傾向をたどり、 近年は4割程度で推移しています。これを主要な先進国と比べると、わが国は最低の水準となっています。途上国の人口増加と経済発展により世界の食料事情がひっ迫すると見込まれる中、自国の食料消費の6割を海外に依存していることは、、安定した食料供給の側面から大きな問題があります。
この状況から脱却するためには、国内で農産物を生産し、日本の食料自給力を強化していくことが不可欠ですが、今の日本の農業は、農地面積の減少、農業従事者の高齢化など多くの課題を抱えています。

食料自給率の推移

これらに対応し、持続可能な農業を行えるようにするためには、複合的な政策のフォローアップが欠かせません。今回の「経済危機対策」においても、1兆302億円が農林水産関係予算として計上され、強い農業づくりを支えるための政策が多く盛りこまれています。
たとえば、水田をフル活用し、自給率の低い大豆、麦、飼料作物や米粉・飼料用米の増産を図るため、これらの商品開発を後押しする政策や、需要に応じた流通体制の整備などに予算が計上されています。同時に、農業の担い手の養成や、農地の集積化など、強い農業の基盤づくりも進めています。
農業は、食の問題はもちろんですが、雇用や環境など様々な分野に密接に関連します。日本の食料自給率を高め、強い農業をつくるためには、「経済危機対策」後も継続的に取り組んでいくことが不可欠であると思いますので、今後も研究を続けてまいります。


水田のフル活用による食料自給力の向上