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健康科学コラム

No.12:災害時の栄養問題

災害時の栄養の留意点については、経過時間によって、表のように考えることが出来ます。

各フェーズの食事との関係
フェーズ0 24時間以内 エネルギー源、水分の摂取に配慮
フェーズ1 72時間以内 水分が重要。脱水症状、熱中症、血圧、身動きしないことから生じるエコノミー症候群などに注意する。
フェーズ2 4日から1ヶ月 食事内容が体調を決める。野菜不足からビタミン不足になりがち。
フェーズ3 1ヶ月以降 簡単な食事や塩分過多になりがち

(医と食Vol.3 No.3, 148頁参照)

●エネルギー:寒さに対抗するとともに、体力・健康を維持するために重要です。年齢・性・体重・活動状況によって異なりますが、平均的な大人であれば、1日1600キロカロリー程度が必要です。
●水:水分不足は、各種の脱水症状を起こす他、心筋梗塞や脳梗塞の危険を高めます。災害時には飲料水やトイレが限られることから、水分摂取が減りがちですが、積極的に摂るよう心掛ける必要があります。
●タンパク類:体重(キログラム)当たりグラム程度の摂取が望ましいですが、エネルギーが十分摂れていれば、その3分の1程度でも当座は凌げます。
●ビタミン類:災害時の食事は糖質中心となり、ビタミンは糖質の代謝に必要なため、ビタミン不足し易くなります。食事の種類は限られるので、野菜や果物のジュースを手に入れて、積極的に摂るようにします。
●塩分:災害時の食事では、塩分が過多になり易いため、男性9g、女性7.5g程度を目途に、過剰摂取に気をつけましょう。
非常食 ●衛生上の観点からは、食べ物は、なるべく、包装物ごと持って(直接手で触らずに)食べるようにしましょう。また、配られた飲食物は、早めに摂って下さい。

(以上は、一般的な大人の場合で、妊婦、乳幼児、高齢者、高血圧・糖尿病等の患者さんにおいては、別途の考慮が必要です。)