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健康科学コラム

No.17:ジカ熱について

ジカ熱とは、ネッタイシマカやヒトスジシマカ等によって媒介されるジカウイルスによる感染症で、過去10年間には、南太平洋地域で流行が認められていましたが、2015年5月以来、ブラジルを中心とした中南米に多数の発症が報告されています。妊娠中のジカ熱への感染と胎児の小頭症に関連性が疑われており、2016年2月には、WHOが「国際的に懸念される公衆の保健上の緊急事態( PHEIC )」を宣言しました。日本においても2016年2月にジカウイルス感染症は感染症法上の4類感染症に指定され、診断した医師は保健所へ届け出ることが義務づけられました。これまでのところ日本国内で感染した症例はありませんが、海外の流行地域で感染した後に国内で発症した症例が、 2013 年以降10例(うち昨年5月からの中南米の流行後は7例)見つかっています。ネッタイシマカは日本には常在していませんが、ヒトスジシマカは日本のほとんどの地域(秋田県および岩手県以南)でみられます。ただし、国内での感染が起こるのは、海外でウイルスに感染した日本人帰国者や外国人旅行者が国内で蚊にさされ、その蚊がたまたま他者を吸血した場合なので、その可能性は非常に低く、仮に起こったとしても限定された地域での一過性の感染と考えられます。

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ジカ熱では、蚊にさされて2~7日後に、主として軽度の発熱、斑丘疹、結膜炎、関節痛、筋肉痛、疲労感、倦怠感、頭痛などの症状がみられますが、重症化はせず、2~7日続いて治まります。ジカ熱の確定診断は、血液や尿の遺伝子検査や抗体検査によります。ジカ熱に対しては特に有効な治療薬はなく、対症療法を行って症状がひくのを待ちます。ワクチンもまだ開発されていません。もし皆様が中南米などジカ熱の流行地へ渡航する場合には、出来るだけ皮膚の露出の少ない服装にし(長袖・長ズボンの着用等)、虫よけを頻回に使用するなどの防蚊対策を心掛けることが必要です。また、妊娠している方は、流行地への渡航を控える方が無難です。

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上:ジカウイルス