No.47:細胞治療の自由診療
最近、「美容医療」「抗加齢医療」「進行・再発がん治療」などを掲げ、高額な自由診療を行う再生医療クリニック(細胞を用いた治療を行う場合の呼称です。)が目立つようになってきました。「再生医療」というと、先進的・画期的なイメージで、思わず期待してしまう方もいると思いますが、果たして実態はどうなのでしょうか?
厚生労働省は、昨年8月に銀座の美容医療クリニックで細胞医療の提供中に患者が急変して死亡した事例に関し、このクリニックと、使用細胞を製造していた細胞加工会社に対して立入検査を実施したところ、多くの法令違反が明らかになりました。また、昨年11月には、銀座の「末期がんに対するがん免疫療法」を掲げるクリニックにおいて不適切な問題が発覚したため、本年1月に立入検査を実施したところ、同様に多数の法令違反が明らかになっています。さらに、本年3月には銀座の「慢性疼痛」の治療を掲げる細胞医療クリニックで、細胞投与中に患者が急変して死亡した事案に対して、クリニックでの医療提供と細胞提供会社の細胞製造の一時停止のための緊急命令を発出しました。4月には福岡の同様の「慢性疼痛」クリニックで、同じ細胞製造会社からの細胞を用いた治療を受けた患者のうち、少なくとも5人が体調不良を訴えていたことが明らかになりました。後者の2事案では、細胞製造を行う韓国の企業が、患者集めの段階から深く関与しることが判明していて、その背景には反社会的勢力の関与も疑われています。
これらの自由診療を規制する法律である「再生医療安全確保法」は、再生医療への参入を容易にして促進を図ることが目的の1つであったため、有効性や安全性に関する十分な根拠が無くても、企業による治療用の細胞製造やクリニックでの治療実施を認めています。この点が悪用されている実態が明らかになったため、厚生労働省も法改正を検討しています。銀座の一等地の綺麗な施設で、再生医療等に関する一流の経歴をもった医師が実施し、ウェッブや雑誌等で顕著な治療効果を掲げている、そういった自由診療でも、根拠は怪しいのが実態です。
戻る