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健康科学コラム

No.19:ヒアリについて

本年5月に尼崎市で、6月に神戸市で、7月には東京、愛知などにおいて有毒な外来生物であるヒアリが発見されました。東京では大井ふ頭のコンテナ内に100個体以上が確認され、駆除されました。

ヒアリの原産地は南米で、亜熱帯から暖温帯地域に生息しますが、北米やオーストラリア、東南アジア、中国、台湾等にも侵入・定着しており、大きな問題になっています。ヒアリは、極めて攻撃性が強く、雑食性で、爬虫類や小型哺乳類をも集団で攻撃して捕食することが知られています。人が刺されると、アルカロイド系の強い毒によって非常に強い痛みを起こし、水疱状に腫れ、後に膿を生じます。毒に含まれる成分に対してアレルギー反応が起こる場合もあり、かゆみを伴う発疹が生じ、アレルギー反応が激しい場合には、アナフィラキシー・ショックを起こし、呼吸困難と血圧低下から意識障害に陥る危険もあります。北米では、これまでに多くの死者が出ています。

ヒアリが疑われるようなアリを発見した場合には、熱湯や殺虫剤などで確実に殺虫し、セロテープに貼り付けて環境省の地方環境事務所にヒアリか否かの確認を依頼します。

万が一ヒアリに刺された場合には、20分か30分は安静にし、体調の変化に注意します。急速に悪化することが無ければ、事後に医療機関を受診すればいいですが、容態が急速に悪化する場合には、最も近い医療機関を受診して、「ヒアリに刺されたのでアナフィラキシー・ショックの可能性がある」旨を医師に伝えて下さい。

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写真:環境省提供