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健康科学コラム

No.31:COVID-19ワクチンの効果の変化と3回目の接種について

COVID-19ワクチン接種は、世界で最初に欧米で2020年12月に始まり、9ヵ月以上が経過しました。接種後早期3ヵ月くらいまでは95%近くの高い感染及び発症予防効果が認められていたファイザーやモデルナのメッセンジャーRNAワクチンですが、最近の報告では、6ヵ月くらいすると、その効果が低下してくることが、各国の研究で明らかになってきています。8月25日に投稿された(現在査読中)のファイザーのワクチンに関するカタールの論文では、ワクチンの効果は、2回目接種後15週以上になると効果が落ちてきて、20週を過ぎると感染予防効果は認められなくなりました。発症予防効果は、15週までは感染予防効果よりは高かったものの、20週以後になると、同様に消失しました。一方、重症・死亡抑制効果は比較的長く持続していて、2回目接種後6ヵ月までは90%以上の予防効果認められています。カタールでは、この研究の時期に、アルファ,ベータ,デルタの3つの変異株が同様の割合で認められていますが、ワクチンの効果は、アルファ,デルタ,ベータの順で高いことが分かっていますので、デルタ株が主流の日本でのワクチンの効果は、この結果に近いものになるのではないかと考えられます。今後、ワクチンによる免疫が低下した人には、3回目の接種が行われることになると考えられます。ワクチン接種の目的は、COVID-19を季節性インフルエンザと同程度の重症化・死亡リスクまで下げることにあり、今後、定期接種化するのか、何回目まで接種するのか、などについては今後の研究が必要です。また、別の諸外国の研究結果から、ファイザーのワクチンは、規定の3週間間隔で接種するより、より間隔を開けて接種した方が、効果が高く長く維持されることも明らかになってきました。3回目の接種は、2回目の接種から時間を経ているため、より高く長い効果が誘導されるのではないか、と期待されます。以上の議論は、モデルナのワクチンにも共通しています。