健康科学コラム

No.46:がんの予防⑦・感染

国立がん研究センターによれば、感染は、日本人のがんの原因の約20%を占めると推計されます。感染による発がんのメカニズムは、感染体が作り出すがん原性タンパク質による直接的な作用や、慢性的な炎症に伴う細胞の壊死と再生による間接的な作用などが報告されています。 ヘリコバクター・ピロリ菌の感染は、胃がんの最も重要なリスク因子であり、国際がん研究機関は、日本のような胃がんが多い国では除菌治療を推奨しています […]

No.45:がんの予防⑥・BMI

皆様も、体重管理には、多少の意識はお持ちのことと思います。肥満は高血圧や糖尿病などの様々な疾患の基礎となります。今回は、それらの他の肥満と関連した疾患の影響を補正した、肥満単独の健康影響に関するエビデンスのご紹介です。日本人の35万人以上のデータを併せたプール解析による定量評価を行い、BMI(体重[kg]を身長[m]の2乗で割った数)の水準が死亡リスクに与える影響を調べた研究では、全死因による死亡 […]

No.44:がんの予防⑤・身体の活動

皆様「運動が健康に良い」ことは、良くご存知だと思います。運動は循環器リスクの低減や肥満の防止にも役立つため、厚労省では、18歳から64歳の人については、“歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分”及び“息がはずみ、汗をかく程度の運動を毎週60分行うこと”を、65歳以上の人については、“強度を問わず、身体活動を毎日40分行うこと”を推奨しています。ただ、日々の仕事や休日の予定で忙しい中で […]

No.43:がんの予防④・食生活

食生活とがんには、世界的に多くの相関が報告されていますが、研究対象とする人種・民族の違いによって、結果が多少異なっています。 ここでは、国立がん研究センターの日本人を対象とした研究・評価の結果を紹介します。 国立がん研究センターが日本人を対象に行った調査では、男性では、食塩摂取量が高いほど胃がんリスクが上がり、最も高い群では、低い群と比べてリスクは2倍以上になりましたが、女性では明らかな関連が見ら […]

No.42:がんの予防③・飲酒

前回は、喫煙と受動喫煙が、多くのがんやその他の疾患のリスクとなることを書きました。 ただ、喫煙はしないが、酒は飲むという方は、私を含めて多いと思います。 残念ながら、飲酒によりがん全体のリスクが上がることは、日本人においても確実と評価されています。 飲酒によって肝臓がん、大腸がん、食道がん、頭頚部のがんのリスクが上がることは確実で、男性の胃がんと閉経前女性の乳がんのリスクが上がることもほぼ確実です […]

No.41:がんの予防②・喫煙

国立がんセンターによれば、2019年の日本の喫煙率は男性27.1%、女性7.6%、男女計16.7%ですので、喫煙されている人も一定数いると思います。 喫煙は、がんの罹患に最も強い関係のある生活因子です。喫煙者本人のリスクとして、がんで亡くなった人のうち、男性で約30%、女性で約5%は喫煙が原因と推計されています。 煙草の煙に直接暴露される鼻腔、口腔・咽頭、喉頭、肺、食道などのがんは勿論、肝臓・胃・ […]

No.40:がんの予防①

がんの治療や予防医学の進歩により、日本人の全がんの年齢調整後の罹患率は、2010年頃まで増加していましたが、その後は横ばい、死亡率は1990年代後半から減少しています。 最新の統計では、日本人が一生のうちにがんと診断される確率(2019年のデータ)はは男性で65.5%(3人に2人)、女性で51.2%(2人に1人)で、日本人ががんで死亡する確率(2022年のデータ)は男性で25.1%(4人に1人)、 […]

No.39:ヒートショック

近年、高齢者が浴槽で溺死する事故が増加しています。厚生労働省の調査では、家庭の浴槽での溺死者数は、2006年から2016年までの10年で3,370人から5,138人へと、約1.5倍に増加しています。消費者庁によれば、浴槽での溺死者の9割は65歳以上の高齢者で、特に冬に多いとされています。冬に起こり易い浴槽での事故の原因として考えられているのがヒートショックです。急激な温度の変化によって血圧が大きく […]

No.38:睡眠

人は一生のうちの約3分の1の時間を睡眠に費やしているものの、人の心身の機能に関する睡眠の役割は、未だにほとんど解明されていません。一方、近年の研究で、睡眠不足が、うつ病や糖尿病、心血管疾患などの発生や、子供の発育の問題、不妊症、認知症の進行などのリスクを大きく上げることが明らかになっています。1日当たり7時間~9時間寝る人と比べて、平均6時間未満しか寝ない人は13%死亡リスクが高く、6時間~7時間 […]

No.37:認知症研究の進歩

突出した高齢化社会を迎えている日本において、認知症は、最も社会的負荷の大きい疾患であると推計されています。認知症の患者数は増加を続けていて、65歳以上の人口の推定罹患率は現在の約18%から、2040年には22.5%程度まで上昇すると考えられています。 これまでの研究により、認知症の約半数を占めるアルツハイマー型では、認知機能が正常な若年・中年期のうちから、15年~20年という長期間にわたってアミロ […]