健康科学コラム

No.33:今後のコロナウイルス

インフルエンザによるパンデミックと考えられる流行の記録は1800年代ころからあるようですが、パンデミックの発生が科学的に証明されているのは20世紀以降で、スペインインフルエンザ(1918~1919年)、アジアインフルエンザ(1957~1958年)、香港インフルエンザ(1968~1969年)、新型インフルエンザ(2009年~2010年)と4回のインフルエンザウイルスによるパンデミックが記録されていま […]

No.32:経口薬

2021年夏の第5波で日本でも起こったように、COVID-19によって患者さんが急増すると、医療の受け入れが逼迫し、多くの患者さんに病院外の自宅や宿泊施設で過ごしてもらうことが必要になってきます。その際に、経口で服用できる医薬品が強く求められてきました。インフルエンザなどの他のウイルス疾患に対する多くの医薬品がCOVID-19に試されてきましたが、明らかな効果を発揮した医薬品はありませんでした。マ […]

No.31:COVID-19ワクチンの効果の変化と3回目の接種について

COVID-19ワクチン接種は、世界で最初に欧米で2020年12月に始まり、9ヵ月以上が経過しました。接種後早期3ヵ月くらいまでは95%近くの高い感染及び発症予防効果が認められていたファイザーやモデルナのメッセンジャーRNAワクチンですが、最近の報告では、6ヵ月くらいすると、その効果が低下してくることが、各国の研究で明らかになってきています。8月25日に投稿された(現在査読中)のファイザーのワクチ […]

No.30:国産ワクチン

COVID-19ワクチンは、既に、米国、英国、ドイツ、中国、ロシア、インドにおいて開発され、実用化されていますが、国産ワクチンは、未だ探索的臨床試験の段階にあり、実用化の具体的な時期は明らかになっていません。このパンデミックを通じて、ワクチンを開発できる技術力を国内に持つことは、国民の健康を守るとともに、外交や安全保障の観点からも極めて重要であることが明かになりました。 国産ワクチン開発が遅れてき […]

No.29:新型コロナウイルス感染症ワクチン②

COVD-19に対するワクチンは、日本はビオンテック社とファイザー社のメッセンジャーRNAワクチン(Pとします。)、モデルナ社のメッセンジャーRNAワクチン(Mとします。)、アストラゼネカ社のアデノウイルス・ベクター・ワクチン(Aとします。)を輸入します。第3相試験で、PとMは約95%の発症予防効果がありましたが、Aは、日本で行われる通常用量の2回接種の場合、62%の発症予防効果に留まりました。実 […]

No.28:新型コロナウイルス感染症ワクチン

11月中旬、米国のファイザー社やモデルナ社の開発した新型コロナウイルス感染症ワクチンが、実地での使用を模擬した第3相試験で、発症率を95%程度減少させたという報道がありました。理論的には可能と考えられていたものの、実際に開発されたことのなかったメッセンジャーRNAワクチンが、どうやら本当に効果があるようだと分かり、科学技術の発展を実感しました。  新型コロナウイルスは、基本再生産数は2.5程度(1 […]

No.27:新型コロナウイルス感染症のPCR検査

新型コロナウイルス感染症については、PCR検査の実施量が増えてきましたが、皆様には、是非、この検査の特性や限界を理解していただきたいと存じます。PCR検査は、鼻腔や咽頭に存在するウイルスのRNAを測定する方法ですが、感染していても、ウイルスが十分に鼻や喉に出て来ない場合や、検体が適切に採取できていない場合には陰性になります。感染している人の発症日から2日くらい前から発症後2週間ぐらいが陽性率が高く […]

No.26:新型コロナウイルス感染症②

1.「人流」と「接触頻度」って何? 緊急事態宣言の期間中、政府の専門家会議は、しばしば「人流」と「接触頻度」の積が、70%,出来れば80%減らして欲しいと言ってきました。そのため、マスコミでは、連日のように、渋谷駅や品川駅前の人出が何%だったと報道していました。実はこの「人流」という言葉は誤解を招き易く、感染の可能性のある人の数のことを指しています。すなわち、“Stay at home”の号令で、 […]

No.25:新型コロナウイルス感染症①

【味覚・嗅覚の異常について】 米国医師会雑誌に発表された論文では、新型コロナウイルス感染症患者の64.4%(130/202)が、嗅覚・味覚の症状があったと報告しています。嗅覚や味覚の異常がCOVID-19に現れることは、阪神の藤浪選手などの報道で知られていましたが、ここまで高いとは驚きでした。初発症状が嗅覚・味覚異常の感染者(11.9%)や、症状が嗅覚・味覚異常だけの感染者(3.0%)もいますので […]

No.24:遺伝子パネル検査

No.22で、本庶教授の開発した免疫チェックポイント阻害薬を用いた新しいがんに対する免疫療法について書きました。今回は、最近のがん治療のもう一つのトピックである遺伝子パネル検査について書きます。 がん細胞は、正常細胞の遺伝子に種々の変異が起こって異常な増殖をするようになった細胞ですが、それらの遺伝子変異に特異的な遺伝子産物が発現しています。近年、幾つかのがんで、このようながん細胞に特異的な物質を標 […]