本日、呼びかけ人の一人として超党派の「国民の質の高い睡眠のための取り組みを促進する議員連盟」を立ち上げ、設立総会を開催いたしました。日本睡眠学会の内村直尚理事長などから、睡眠に関する最新の知見や政策的関与の必要性についてご説明いただき、国民の健康のために積極的に活動していく方針を確認しました。
【国民の質の高い睡眠のための取り組みを促進する議員連盟(略称:睡眠議連)】設立趣意:古川作成
人は一生のうちの約3分の1の時間を睡眠に費やしているものの、人の心身の機能に関する睡眠の役割は、未だにほとんど解明されていない。一方、近年の研究で、睡眠不足が、うつ病や糖尿病、心血管疾患などの発生や、子供の発育の問題、不妊症、認知症の進行などのリスクを大きく上げることが明らかになっている。また、健康面での影響だけではなく、睡眠不足は仕事の生産性や創造性を低下させることも分かっている。
厚生労働省研究班によれば、日本人の5人に1人は睡眠に何かしらの課題があるとされている。また、OECD加盟国の中でも、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で加盟国のうち30カ国で最下位となっており、 全体平均の8時間24分とほぼ1時間もの差がある。特に、乳幼児から青少年の調査では、日本の子どもの睡眠不足が顕著である。また、日本の就労者は睡眠時間が短く、米国RAND研究所は、日本の睡眠不足による経済損失は年当たり1380億米ドル(約18兆円)に達し、先進諸国の中で対GDP比最高であると推計している。
このように、睡眠不足は、日本人の健康寿命の延伸と日本の経済成長に負の影響を持つ問題であるが、社会生活の広範な領域と深く関わっており、労働安全衛生や健康経営と睡眠、生活習慣病と睡眠、高齢者の健康と睡眠、こどもの健康と睡眠、睡眠に関する医療イノベーションの促進等、多面的な検討を要する問題である。
コロナ禍での働き方の変化により、企業を中心に従業員のメンタルヘルスケアなどがより注目されるようになったことで、睡眠の重要性の認知は徐々に広がってきてはいるが、科学的で、より具体的な解決策には乏しいのが現状である。
このような状況を打破し、国民が質の高い充実した睡眠を享受できるよう、アカデミア・産業界と近密に連携して、科学的な知見や実証を重視した、実効性のある睡眠に関する対策を打ち出していくため、「国民の質の高い睡眠のための取り組みを促進する議員連盟」を設立する。