特定非営利法人日本デジタル・フォレンジック研究会(IDF:Institute of Digital Forensic)の第1回医療分科会を三田の慶應義塾大学で開催し、会場一杯の大学や企業の研究者が集まりました。デジタル・フォレンジックとは、デジタル情報の生成・変更に関する履歴調査やデジタル情報に関連する犯罪捜査技術について、情報処理科学や法学の側面から研究する先端的な学域です。情報の記号化や電子署名から更に進んだ議論で、欧米でも始まったばかりです。特に医療分野は個人情報保護と公益性の問題が複雑に交差する領域で、学術的にも実務的にも重要です。私は本会の立ち上げの時からの中心メンバーで現在も理事を務めていますが、医療電子化に関する日本の第一人者である秋山昌範理事(現在マサチューセッツ工科大学客員教授)とともに、医療分野を担当しています。
本日は、私がコーディネーターを務め、パネリストに厚生労働省の中安一幸氏、新潟大学大学院実務法学研究科の鈴木正朝教授の他、企業研究者2名と昨日米国から一時帰国した秋山理事が入り、多角的な観点から医療分野におけるデジタル・フォレンジックの向うべき方向について、真摯な熱論が続きました。予定時間をギリギリまで延長しまして行いましたが、議論が白熱したためにあっという間に感じられ、会場の皆さんからも大変高い評価を受けました。私もコーディネーターとして論点を切り分けて問題の本質からの議論をリードするよう心掛けましたが、その努力は皆にも十分伝わっていたようで、沢山のお褒めの言葉をいただきました。