朝、党の政策検討会に出席し、政府が、福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用について、1~20mSv/年を暫定的な基準としていることついて、議論しました。この基準については、多くの方から基準が甘すぎるのではないか、などのご意見を頂いています。20mSv/年を基準とした根拠について政府に聞いても、明確な回答は返ってきません。
原子炉の事故によって発生する可能性がある放射性物質への暴露には、一般に、①放射線源近くでの直接の暴露、②環境中の放射性物質が衣服や皮膚に付着することによる外部汚染、③環境中の放射性物質を食べたり飲んだりすることによる内部汚染、の三つに分類されます。①は、主として、事故現場で働く作業員の皆様に急性の骨髄や消化管の障害を引き起こします。現在問題になっているのは、②の外部被爆と③の内部被爆による一般市民への影響です。
放射線の慢性的な外部被爆の影響については、世界的に十分なデータがありません。日本には、財団法人放射線影響協会の「原子力発電施設等放射線業務従業者等に係る疫学的調査」があり、これが慢性的な被爆に関する最も信頼性の高いデータです。最新の報告は、平成22年3月に出ています。それによると、食道がん(p=0.032)、肺がん(p=0.07)、肝臓がん(p=0.025)、非ホジキンリンパ腫(p=0.028)、多発性骨髄腫(p=0.032)で、累積線量とともに有意に増加する傾向が認められ、その増加は累積10〜20ミリシーベルトから現れています(pが0.05以下の場合、科学的に意味がある影響と判断され、pが小さければ小さいほど、重要な影響であると考えられます。)。
この点、この報告書は、異なる対象者について実施した別の調査では、喫煙者(及び喫煙本数1日25本以上の者、年間総喫煙量30パック以上の者)の割合が、累積線量とともに増加していたとしています。そのため、今回の調査で、食道や肝臓、肺のがんが累積線量とともに有意に増加していたのは、喫煙等の生活習慣が関係している可能性も否定できないと結論づけています。
しかし、①今回の調査結果を否定し得る根拠となるかどうかについて、何らの統計学的な根拠も示されていないこと、②そもそも、喫煙する放射線従業者は、何故被爆量が多いのか疑問があること(放射線作業現場は喫煙者がより多く被爆するように差別されているということになってしまいます。)、③同様に喫煙によりリスクが上がるはずの心・血管疾患、脳血管疾患、呼吸器系の疾患と肺炎及びインフルエンザでは何れも累積線量とともに有意に増加する傾向は認められておらず、食道や肝臓、肺のがんの増加だけを喫煙の影響とするのは、恣意的であることなど、問題があります。
原子力産業従事者を対象とした15ヵ国国際共同研究結果、及び英国放射線業務従事者研究結果でも、白血病を除く全悪性新生物の死亡率には累積線量と有意な増加傾向が認められています。15ヵ国国際共同研究論文の著者等は、「白血病を除く全悪性新生物の死亡率と累積線量との有意な増加傾向は、喫煙あるいは他の職業ばく露による交絡の影響の可能性が部分的にはあるかも知れないが、それだけではリスクの増加を説明しきれない」、と言っているのです。
文部科学省は、学校・校庭等の利用を年間20ミリシーベルトまで許容範囲としていますが、セシウム137(半減期約30年)などの半減期の長い放射線同位元素による汚染も発生しており、累積では、20ミリシーベルトを大きく上回る可能性があります。その上、成長期にある子供たちの放射線感受性は、成人の2〜3倍と考えられるのです。政府は年間20ミリシーベルトという根拠の無い基準を撤回し、子供たちの被爆量を出来る限り低くするよう、対策を講じるべきです。
今後、各委員会等で政府に対し、この問題についてしっかりと追及してまいります。
その後、超党派のポリオ根絶議員連盟の懇談会に出席しました。本日は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団で国際保健政策を担当しているレイリン・キャンベル氏、ハンナ・ケイ氏と意見交換をしました。
午後、理事をつとめている国民生活・経済・社会保障に関する調査会に出席しました。
「持続可能な社会保障」における「給付と負担のあり方」について、一橋大学経済研究所の小黒一正准教授、東京大学社会科学研究所の大沢真理教授、慶應義塾大学経済学部の土居丈朗教授から説明を聞き、質疑を行いました。