活動報告

6月25日

広島大学医学部に招かれ、特別講演を行いました。内容は、私が長年外科医として取り組んできた医療用ロボットや遠隔医療の研究と開発に関する純粋に学術的なもので、この課題については、これまでも多くの大学で講演を行なってきました。特に広島大学には、大学病院院長の越智光夫教授に毎年招いていただいています。もう一人の演者として招かれていたのは以前から様々な研究でご一緒してきた元大阪大学医学部長の越智隆弘名誉教授(現大阪労災病院院長)で、夜は、3人で今後の外科系医療機器の開発について語り合いました。

6月24日

ロシアで日本を紹介している雑誌の取材を受けました。医師、弁護士という私の経歴が、珍しいようでした。ロシアも、中国、インド、ブラジルと並んで(いわゆるBRICs)、新たに経済大国への道を歩んでいます。でも未だ「日本ブランド」の価値はロシアでも大きく、“made in Japan”の良質な製品を輸入・販売するビジネスは、順調に伸びているとのことでした。単なる価格競争では賃金の安価な発展途上国に利があるのは明白ですが、我国は、付加価値の高い良質なものづくりを大切にし、築き上げたブランド力を一層磨いていくことが、今後の基本的な道筋であることを再確認しました。

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6月23日

羽生市議会の有志の議員の皆様に勉強会の講師としてお招きいただき、高齢者医療制度を中心とした医療問題について講演しました。地域住民の皆様の生活に直接に関わってくるのは、地域における医療提供体制であり、保険体制です。地域医療計画や広域連合等の問題について、詳細な説明を行いました。

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6月21日

「サタデーずばっと」に出演し、閉会に当たって、道路問題や高齢者医療制度などの政局問題について討議しました。衆参の捩れの中でも、内閣提出法案の80%は成立し、そのうちのほとんどは全会一致か圧倒的多数の賛成をもっての成立でした。その評価は様々でしょうが、番組のモニター映像では、与党幹部は「最低限は機能した」と考えているようで、一方、民主党幹部は、与党から譲歩を引き出したり、一部成立を阻止したりしたからでしょうが、「100%の出来」という発言でした。国民生活にその早期の成立が必須である法案の多くには与野党ともに異論はなく、その結果、争点となった数えるほどの法案のみが大きくマスコミに取り上げられることになり、かえって与野党の捩れた状況が国民の皆さんの目には誇張されて映っていたような気がします。私が出演したテレビ番組でも、多くはそうでした。
深刻な財政状況の中で、与党はその責任を担う立場に立つため、基本的には「聖域なき費用削減」政策を貫かざるを得ず、テレビ番組でも、与党議員は常に守勢に立つことになります。議員の中には、「あまりテレビに出ると票が減るよ」と言ってくる人もいますが、私は、逃げ隠れせず、国のありのままの状況をテレビを通じてしっかり国民の皆様に説明することこそ、議員の役割であると思います。また、生中継の討論の中で、野党の意見を改めて聞いたり、マスコミによる世論の分析を見たりすると、与党の議論の中では気づかなかった新たな視点が得られることもあります。今までテレビコメンテーターは長年やってきましたが、別に政治の議論に拘らず、立場の違う方々と国民の皆さんの見ている前で意見を交わす機会を持つことで、自らの思考回路を再点検するよう努めていきたいと思っています。

6月20日

国会は明日閉会日を迎えます。金曜日である本日、一斉に会期末の処理が行なわれ、本会議の後、所属する4つの委員会が立て続けに開催され、請願案件の取扱いや委員会の調査の継続などが決議されました。
これで、昨年9月10日に召集された168臨時国会から、党大会のための休会日2日間を挟んで284日にわたる国会の論戦がようやく一段落しました。安倍前総理大臣の辞任、党総裁選挙、福田総理大臣の誕生、未経験の衆参捩れ状況の国会運営とそれをめぐる混乱、テロ対策特別措置法、揮発油税等の租税特別措置法、道路特定財源問題という3度にわたる3分の2再可決、後期高齢者医療制度への批判と、揺れ続けた政情でした。諸問題を抱えたままのしばしの休会ですが、サミットを成功させるとともに、8月下旬の開会が囁かれる臨時国会に備えて、引き続き政策部会で活動していきます。
夕方からは、自民党戸田支部の総会で高齢者医療制度の話をし、その後朝霞地区の医師・歯科医師・薬剤師の皆様の会合に出席しました。

6月18日

再生医療を推進している超党派の議員連盟のメンバーで、横浜にある理化学研究所を視察しました。米国に比較すれば圧倒的に少ない予算で、次々と世界的な研究成果を挙げている理化学研究所ですが、研究者の皆様の努力が良く分かりました。医学研究の現場に入ると長年の本性が出て、思わず再生医療研究の最新の知見にまで意見交換をさせていただき、未公開の情報まで教えてもらいました。やはり、研究者同士で夢を語り合うのは、大きな喜びです。今後も、日本の健康科学技術の振興のために、全力で頑張ってまいります。

6月17日

党の政策部会で、このたび創設される消費者庁の概要案について説明が行われました。政府が有識者による検討会などを通じてまとめた案ですが、気になったのは、消費者行政の中心ともいえる食品の問題です。食品に関する偽装や不正の隠蔽などは消費者庁が管轄しますが、食品の安全性については、消費者庁ではなく、相変わらず食品安全委員会が担当することとされています。この点について、内閣府と関係の省庁に問い質疑しました。
食品安全の審査については、従来、政府の委員会に所属している学者だけではなく、消費者の立場で活動している多くの科学者が提言を行なっています。私も、幾度となく、食品安全委員会の結論には納得がいかない思いをしたことがあります。科学的な見解である限り、食品安全委員会であっても、消費者団体であっても、広く検討することこそ科学的な態度です。「消費者の視点に立った行政」という消費者庁の趣旨が全うされるよう、しっかり監視していきたいと思います。

6月15日

埼玉県保険医協会の総会に出席し、ご挨拶しました。政治的には現在の与党の政策には明確に反対している協会ですが、同じく国民の健康と国民医療の発展を願っている医療従事者として、思いの基本は共通です。国民皆保険制度を守るとともに、医療をめぐる厳しい環境の改善に努めていきたいと思います。

その後、自民党新座支部の大会へ出席し、新しい高齢者医療制度についてお話ししました。

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6月14日

母校である慶應義塾大学医学部の同窓会の理事会と評議委員会が開催され、懇親会の席において議員となった旨の報告と挨拶を行いました。同窓の先輩医師たちには、政府の審議会や検討会の委員として医療行政にご尽力いただいている方々も多く、今後の一層のご指導をお願いしました。
また、健康科学研究の推進についてもお願いしました。特に慶應医学は、がんの個別化治療法や再生医療技術を用いた中枢神経疾患などに対する画期的治療法の研究・開発では、世界のトップレベルにあります。研究現場での経験を活かし、新技術についてのコミュニケーションを深めながら、個々の革新的技術に対して至的な研究支援・推進体制を構築していくことこそ、私の仕事であると感じています。

6月13日

法曹養成の在り方に関する公開討論会が行なわれ、中心的討議者の一人として、意見を闘わせました。
司法改革は、「より身近で、速くて、頼りがいのある司法」を目的としており、そのためには、幅広い専門的知識や柔軟な思考力とともに、豊かな人間性や説得・交渉能力を備えた、質の高い法曹を養成していく必要があります。ところが、現在、「平成22(2010)年ころには新司法試験の合格者数を年間3,000人とすることを目指す」という方針のために、従来の司法試験では合格できなかったレベルの受験者が合格することとなり、司法試験合格者の資質に格差が広がっています。多数の司法試験委員(採点者)が「合格者の専門的知識や思考力のレベルが低下した」と評価している上、司法研修所での修習の総仕上げである試験(いわゆる二回試験)に合格できなかった者も、従来は毎年数人以下でありましたが、100人を超える状況となっています。

さらに、法曹に必要な資質は司法研修を終了するだけで獲得できるものでは到底あり得ません。医学部を出たばかりの新米医師が、一人前に患者さんを診られないのと同じことです。独立して業務を行えるようになるためには、最低数年間は先輩弁護士について実務経験を積み、その過程で研鑽していくことが必要になります。しかし、現在は、受け皿となる法律事務所も法曹資格者の増加に対応することができず、このような実務を通じての基礎教育の場を提供することが非常に困難な状況となっています。「司法過疎」と呼ばれてきた地方においても気軽に弁護士に相談できる体制を整備することは重要なことですが、基礎的な実務トレーニンを欠いた弁護士では、本来であれば依頼人に認められるべきである権利を確保できなかったり、十分な紛争解決を行うことができなかったりして、依頼人に損害を与えるおそれがあります。

この様な状況では、多様化・高度化する法曹に対する需要に応えられないのは明らかで、単に合格者数を増加させるという現行方針は、「より身近で、速くて、頼りがいのある司法」という司法改革の趣旨に全く合わないどころか、国民の権利を損ない、司法に対する信頼を崩壊させかねない危機的状況を作り出しています。資質を備えた法曹を着実に養成していくことこそ政府の責任であり、法曹人口を増加させていく前提として、まず、その基盤を早急に整備すべきなのです。
しかし、政府は、未だ既定の方針にこだわって、法曹の塑造・乱造方針を改めようとはしていません。既定路線の擁護派は「法曹を増やすことによって、日本社会に法治精神が定着する」と主張していまが、それでは「医者を増やすことによって、病人を作る」というのと同じで、本末転倒です。訴訟社会と言われる米国では、紛争処理のために多くの社会的コストが生じ、最終的には消費者の物価を押し上げる結果となっています。被害者が泣き寝入りするような状況に対策を講じることと、法曹人口を増やすことは無関係です。司法制度の在り方は、他国の真似をするのではなく、話し合い解決を重視してきた日本社会の特性を活かして構築していくべきです。

以上の意見は、私だけでなく、多数の若手議員を中心とする100人近くの議院の一致した意見で、既定路線を擁護する議員と意見を闘わせています。既定路線派には、法科大学院に関する利権があるのではないかとの憶測も漏れ聞きます。私は、法曹としての、また法科大学院の教員としての信念に基づき、真に「より身近で、速くて、頼りがいのある司法」を実現するために、頑張っていきたいと思います。